『始まりはシャケおにぎりから』
朝一番にする事は、吸水しておいたお米を炊飯器にかけること
それが彼女...秋野春子の一日の始まりなのです。
新入社員時代に買ったヒヨコの目覚まし時計が鳴る
「うーん...朝なのですねぇ...。」
春子は布団の中で伸びをし、大きな深呼吸をする。
ピピピピ...
目覚まし時計は布団の中で大の字のまま動かない春子の眠りを妨げる
「はいはい…ピヨ丸様...おきますよぉー。」
どうやらこの目覚まし時計はピヨ丸様とい言うらしい。
フローリングの程よい冷たさが春子の足裏を刺激し頭を覚まさせる。
ピッピ...ピー。
炊飯器のスイッチが入った。
春子の一日の始まりだ。
「本日の東京はすっかり秋模様で厚手の上着を~」 ピッ。
春子は天気予報だけ確認してテレビを消した。テレビっ子ではないらしい彼女は身支度を始める。
未だに慣れない化粧と戦いつつ着替えをする。
「今日は取引先のレポート作成と来週の出張の資料整理っと...」
ピーーーーーーーー
炊飯終了の音が鳴った。
カチャッ
白米のホワンとした甘い香りと、優しい湯気が春子の顔を覆う
「はぁ…この瞬間幸せ」
髪を1つに括り、至福な一時の開始
「昨日焼いて解したシャケをおにぎりの中心にっとぉ…。あっつっ! 握り過ぎず...フワッと、キュッと♪」
化粧ではぎこちなかった手つきも、おにぎりを握る手つきは慣れた模様の春子
一通り握り終えたのか、台所の戸棚から海苔を出した
「パリパリじゃなきゃねぇ~」
どうやら春子はパリパリの海苔が好きらしい
「パリパリの海苔にふっくらおにぎり♪今日のシャケおにぎり完成~♪」
そう言うと手に着いた米粒を食べつつ、お茶とおにぎりを食卓の上に置き、ラジオをつけた。
「いただきます!」
パシっと手を合わせておにぎりを頬張る。
「パリッ!ほふぅっ!っモグモグ...」
出来たてホヤホヤのシャケおにぎりを頬張る。
フッと朝開けた窓から涼しい風が入る。この時期だと多少寒さがあるが、ホクホクのシャケおにぎりのおかげで、体は温まっている。
ふう...もうそろそろいい時間だな...。
ニャーー。
「あ!!!!秋ごめん!今ご飯出すね!あ!出勤しなきゃ!」
あ...申し遅れました私は秋野春子の飼い猫『秋』と申します。
春子と一緒に住み始めてかれこれ1年。
毎朝同じシャケおにぎりを頬張るのに一生懸命な飼い主から餌の時間と出勤の時間をお知らせする役割を担っております。
さぁ...今日も幸せな一日の始まりです。
いってらっしゃい春子
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